コマ給制を利用して授業準備に賃金を支払わない個別指導塾に団交申し入れ

個別指導塾と団体交渉中!
 現在、学生ユニオンは、個別指導塾を経営するある会社(当該会社と呼びます。)と団体交渉中です。当該会社は、事業を支えるアルバイト講師に対し、適切な労働条件を確保していません。今回の団体交渉では、主に、授業準備時間に対する未払い賃金の支払い、生徒都合による授業日前日のキャンセルが発生した際の給与補償及び、上記二点に関する今後の運用改善が争点となっています。

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授業準備時間に対する賃金の未払い
 当該会社が運営するB校舎で英語を教えていたアルバイト講師のAさんは、各生徒の性質に合わせて、一コマあたり平均約1時間の授業準備を行っていました。一方で、当該会社は、講師研修の際に用いる研修資料において「教室やご自宅等で自主的に行って下さった授業準備の時間や、ご自宅等での自己研鑽に対しては手当を支給させていただくことができません」としています。同塾は事業の性質上、個々の生徒の学力差が大きく、他塾よりも各生徒に合わせた授業設計が必要とされますが、そのような必然的に生じる授業準備時間に対して、当該会社は賃金を支払ってきませんでした。
 これに対して会社は、研修資料における、「一コマの授業給には、準備・記録作成10分間の手当が含まれています」、「準備、記録作成の時間が10分間を超える場合は、超過分の手当を支給いたします。事前に教室長に口頭で承認を得た上で、教室内に設置している『申請記録簿』を記入した後、教室内で記録作成を実施してください。実際にかかった時間の申告に基づき、手当をお支払いします」という文言を基に、授業準備に対する賃金を支払う制度を用意しており、同賃金が支払われていないのは、Aさんが申請を怠ったからであるという主張をしました。
 一方で、先にも述べた通り、同研修資料では「教室やご自宅等で自主的に行って下さった授業準備の時間や、ご自宅等での自己研鑽に対しては手当を支給させていただくことができません」と述べられています。また、Aさんは、授業準備に賃金が発生しないことに不満を覚え、B校舎の教務スタッフに相談していますが、同スタッフの返答は「入社時にご確認いただいております研修資料と同様の内容となりますが授業準備の時間に関しましては、実働時間を把握することが難しいため一律、コマ給での支給とさせていただいております」というものでした。また、この際に「申請記録簿」の存在も伝えられておりません。少なくともB校舎では、授業準備の時間に対する賃金は支払わないものと認識されており、「申請記録簿」も当該会社が団交において主張したような運用はされていなかったということです。

授業日前日のキャンセルが発生した際の給与補償
 同塾では、利用する生徒の特性上、生徒都合で授業が突然キャンセルになることがしばしばあります。授業日当日に授業がキャンセルになった場合、講師は、軽作業を実施するか否か選択することが出来ます。しかしながら、授業日前日までに授業がキャンセルとなった場合、軽作業を行うことが出来ず、休業手当も支給されません。講師は授業予定日を空けておかなければならないにも関わらず、前日に授業がキャンセルとなったら一切働くことが出来ないというのは不合理な拘束であるというほかありません。Aさんは過去に三日、授業予定日を空けておいたにも関わらず前日に授業がキャンセルとなり、給与補償も受けられませんでした。
 B校舎において、授業予定日は、基本的に月末最後の授業時に生徒と講師で相談し、校舎の教務スタッフの承認を受けて決定されます。授業日時が決定している以上、当然講師は設定した日時を確保し、それまでに授業準備を行います。一方で、雇用契約書には「授業予定表は前月末日までに予定として明示するが、具体的な勤務日、勤務時間は予定表に示す授業予定日の前日に決定する」と記載されており、当該会社はこれに基づき、「授業予定日の前日の経過を以て、雇用契約として拘束される出勤日となります。したがって、A氏を含む講師(労働者)は、そもそも法的に拘束されていません」と主張しています。
 しかし、講師からすれば、会社の主張には無理があります。キャンセルがない限りは授業を行わなければならないため、月末に予定日を組んだ時点で、講師からしたら「拘束される出勤日」であることは明らかです。逆に、「授業予定日の前日の経過」までは法的に拘束されていないというのであれば、授業予定日前日までなら講師が特に理由もなく授業を取りやめることが許されるのでしょうか。このように考えれば、同塾において講師は、月末の授業予定日の決定を以て拘束されており、雇用契約書が実態に則しておらず、労働者に対して不合理なものとなっていると言えます。当該会社が、このような指摘に対し「不合理かどうかは主観的な判断である」などと抽象的な反論で煙に巻いていたことも印象的でした。

今後の団体交渉
 1回目の団交での全面拒否回答を受け、当ユニオンは2回目の団体交渉を申し入れました。次の団体交渉における回答次第では、会社前での争議行動も同時に進めていく所存です。
 数年前に「コマ給制」問題が社会問題化されているにもかかわらず、未だに授業準備時間に賃金を支払わない会社は多くあります。同産業では労働者の多くを学生アルバイトが占めておりますが、産業の担い手として十分な待遇が保障されているケースは少ないのではないでしょうか。各職場の学生バイトが声を上げない限りは業界も変わっていきません。同様の問題を抱えている方は、是非ユニオンと一緒に声を上げていきましょう。

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